ジーン・セバーグの愛らしい演技がまぶしい「悲しみよこんにちは」

「悲しみよこんにちは」はフランソワーズ・サガンの同名小説をもとにして1958年オットー・プレミンジャー監督のもとに製作された映画です。

この映画はフランソワーズ・サガンの小説が遜色なく存分に生かされていますが、キャストの人選に関してはオットー・プレミンジャー監督の目に狂いがなかったと言えるでしょう。主役のセシルを演じるのはこの映画でデビューを果たしたジーン・セバーグですが、初出演とは思えないほど、その存在は輝きを放っています。彼女のまぶしいばかりの若さや奔放性、端正な容姿の中に脆さが見え隠れする個性には、セシル役がぴったりです。

この作品の最大の特徴はモノクロとカラーの二つの画面を併用している事ですが、黒のミニドレスがジーンに似合っているのが功を奏したと思います。カラーの画面でハツラツとして見えてもモノクロでは輝きを失う人は多いのですが、ジーンに関しては違うようです。
主役のセシルは17歳で母亡き後は父と二人の生活をしていたという設定ですが、父親レイモンドを演じるデヴィッド・ニーブンや母の親友で父と恋仲になるデボラ・カー演じるアンヌも素晴らしく、中年の恋人同士の色気に圧倒されます。

セシルとレイモンドが一緒に過ごす南仏の海や青空がとても美しいのが、この作品のもう一つの要になっています。セシルはアンヌを年上の女友達のように思っていたのが、父と婚約したと聞かされてから彼女に嫌悪感を持つようになりますが、青い空に一点の曇りも許さないように、次第に介入しようとするアンヌの事が邪魔になったのでしょう。セシルはその後ほんの少しアンヌに傷を負わせようとしてとった行動が彼女を死に追いやる事になり、父と二人で空虚な日々を過ごす事になります。

鮮やかなカラーの場面では表情豊かなセシルが、モノクロの場面では一転します。甘くて時に残酷な少女期の女性を描いた映画では「悲しみよこんにちは」は五指に入る作品だと言えます。